laoshuaidamiのブログ

2011年2月から2016年5月までの北京生活と辺境を含む中国全土および周辺国への珍旅行の記録です。

2011年3月9日

<全人代について>

 3月5日に開幕された全国人民代表大会(全人代、人大)は、温家宝総理の政府活動報告を皮切りに9日間の審議を経た後(1日休会)、3月14日に決議案の採択を得て閉幕する予定です。
 全人代は毎年3月に開催されますが、今回は、第11期(2008年~2013年の5ヶ年)の第4回会議にあたります。つまり、来年(2012年)3月の第5回大会を経て、再来年2013年3月の第12期第1回会議までが、2003年から始まった現胡錦濤・温家宝体制の一応の区切りとなる予定です(※)。
※ 現行憲法では、国家主席の3選は禁止されており、総理(国務院総理)の指名権は国家主席にあるため。
 政治活動報告の内容は、既に日本でも多く報道されているため詳しくは述べませんが、今回の特徴は、第11次5カ年計画(2006年~2010年)の政府活動報告および第12次5カ年計画(2011~2016年)が提出されていることです。
 これまでの5年間、オリンピック・万博とひたすら国全体の経済発展のペダルを漕き続けてきた中国ですが、ここに来て国内のアンバランス・不均衡などの「ほころび」があることもこの活動報告のなかで極めて冷静な視点で明記されています。そして、今後の5年間は、漕ぎ続けてきたペダルを少し緩め、(走り続けながら)タイヤやフレームの点検・修理を行うというものです。
 広大な面積と圧倒的な人口を占める中国がこれを行うことは、気の遠くなるような努力を要するものと考えられますが、楽天的で陽気なこの国の人達は「没問題、没問題」と言いながら、必ずやり遂げるものと思います。


 全人代の開催に合わせて、中国人民政治協商会議(全国政治協商会議)が、3月3日から3月13日まで開かれています。
 中国は社会主義国ですから中国共産党の指導により国家が成り立っていますが、それ以外の政党が存在しないかと言えばそうではありません。全国政治協商会議はそれら他の政党(含む中国共産党)および各界の代表者から構成されており、省レベルでの地方委員会も設けられています。
 主な活動は、政策提案、国家機関の活動に対する監督・指摘などとなっています。
 その内容について私自身も未だピンとイメージすることはなかなか困難な状況にありますが、「連立与党」、「参議院」、「政府諮問機関」の3つが合わさったものをイメージしていただくとよいかと思います。


 なお、全人代開催中は、ホテルの値段が上がったり、航空券の予約がしづらくなったりすることもあります。また、本会とお付き合いのある国営企業の上層部の方は全人代代表であることも間々ありますので、ご来訪の際は注意が必要です。

2011年2月24日

<中国の春節>


2月3日から始まった春節は、2月17日の元宵節(YuanXioaJie)で一応の締め括りとなりました。18日以降、市内(ここ北京)での花火・爆竹は禁止されており、17日の夜は皆残った花火・爆竹を全て使いきるため、市内はあたかも(音だけの)市街戦(?)の様相を呈しました。
15日間に渡る(公休日は実質3日ですが慣例として)長い休みは終わりましたが、それでは完全に元に戻ったのかといえばそうとは言えない状況です。小職が日本に居た時に抱いた疑問は、何故そんなに正月が長いのか?ということでした。
居留証取得ため日本に帰ることができず今春節を当地で過ごした小職は、この理由が中国の雇用形態、特に都市部労働力の圧倒的な割合を占める農民工の雇用形態にあることが、市井の話で薄々分かってきました。
農民工は、日本で言ういわゆる「出稼ぎ労働者」ですが、元々中国の雇用形態が短期であることに加え、農民工の雇用は更に短期間となる場合が多くあります。そして、その雇用の区切りが正しく春節なのです。つまり春節後、都市に戻ってまた仕事を始めるのは「仕事に戻る」のではなく、「新たな仕事に就く」ということになります。別の言い方をすれば、春節で故郷に帰るのは、日本で言う「帰省」ではなく「帰郷」なのです。
故郷・家族と離れて辛い仕事に耐え、春節でやっと故郷に帰る。故郷で心と体を休め、充実したら、また都市に来て仕事を探し、始める。そんな風にイメージしていただければよいかと思います。今の中国を本当に支えているのは、この「春節」というささやかな楽しみを長く心待ちにしているこの多くの人達です。
以上のように、春節は中国では特別の意味を持つ休日です。日本の正月とは多少次期がずれるため、なかなか理解しづらい面もありますが、業務上においては十分に配慮する必要があると考えます。
私たちだって、少し昔までは正月を長く心待ちにしていた時期があったような気がします…。