laoshuaidamiのブログ

2011年2月から2016年5月までの北京生活と辺境を含む中国全土および周辺国への珍旅行の記録です。

2011年9月14日

中国料理について

 6月~9月にかけてはアテンドが多い時期となりますが、アンテンドで一番頭を悩ますのが食事の場所です。情報誌で探したり、現地職員や朋友に聞いたりしながら探しますが、基本的に初めて北京に来られる方には北京ダックが一般的になります。それ以外となると多種多様でこれまた大変です。
 一般的に日本で知られている中国料理は、北京、上海、四川、広州の四大料理ですが、当地ではこのような分類はあまり一般的ではありません。
従来からの料理の分類方法は、以下の「八大菜系」呼ばれる方法です。
表示 特   徴(一部文献から抜粋)
山東料理 魯菜 北京宮廷料理のルーツ。香りがよくて塩辛く、歯ごたえはやわらかい。彩りが鮮やかでつくりが繊細。透明なコンソメスープ(清湯)と白く芳醇な牛乳スープ(奶湯)がよく使われ、ねぎなどを香味料に使う。また海が近いことから海鮮を使った料理が多い。
江蘇料理 江菜 ※ 上海料理のルーツ。味は淡白で、旬の素材のうまみを生かすことを重んじる。一般的に素材がやわらかくなるまで調理する。また季節の旬の素材を使い、各皿の盛り付けにあたり色や形の調和を重んじ、スープ(湯)を用いて風味を増すことに重点を置く。
浙江料理 浙菜 調理法は精緻で変化に富み、料理や盛り付けは鮮やかで、歯ごたえはやわらかく、味付けは塩辛くさっぱりとしている。この地域特産の新鮮な素材を選び、その持ち味やさわやかさを引き出すことが特徴。鮮やかで美しい盛り付け。
安徽料理 徽菜 味が濃く、比較的油を多く使い、とろみを付けてこってりした料理が代表的なものとして知られる。海に面していない安徽省は、山野草、筍、キノコや、川魚、などの淡水産の食材を使う特徴がある。しかし、安徽料理専門のレストランは中国においても稀な存在。
福建料理 閩菜 福建は東は海に面し西は山を背負っているため、山海の料理材料に富み、その特色は色調が美しく、淡白で滋養がある。調理法は油炒め、餡かけ、ソテー、煮込みに長じ、特に“酒糟味”は独特。海鮮が豊富で、それらを原材料とした調理法に独自のものがある。
広東料理 粤菜 世界に普及している中国料理一つ。現在、ニューヨーク市だけでも数千の広東料理店を数えるに至っており、日本でも横浜・神戸の中華街には広東料理店が多い。原材料の種類は豊富で新奇を好むので変化に富み、旨み、若い柔らかさ、爽やかさ、滑らかさを重視している。調理法はソテー、揚げ物、餡かけ、煮込み、揚げ炒めなどに長じ、盛付けの彩りは重厚。
湖南料理 湘菜 唐辛子を多用し、辛い中国料理の代表格とされる。四川料理と異なるところは、四川の「麻辣」に対して「酸辣」といわれる、辛味のほかに酸味が効いた味にある。「鮮辣」の強烈な風味から「中国で一番辛い料理」と言われることもある。
四川料理 川菜 広州料理に並ぶ中国の有名料理の一つ。唐辛子や花椒(山椒の同属異種)などの香辛料を効かせる辛い中華料理として知られる。痺れるような辛さを意味する「麻辣」を味の特徴にしており、中国の他の地方の料理に比べて香辛料を多用する。これは四川省や重慶市の湿度が高く夏と冬の寒暖の差の大きい気候が関係しているとされる。内陸という地域性を反映して海産品を食材として使うことは少ない。
※蘇菜 淮揚菜と標記する場合もある。
更に別の分類方法もあるようですが、レストランでは基本的にこの分類を基準に看板を出すことが多いようです(上記表の「表示」の欄)。
ただ、これらの分類も時代とともに変化して来ており、オーバーラップすることや、外国料理の特徴と取入れたりなど、明確に「この料理はこの分類」とは言えなくなってきているのも事実です。(事実、私が持っている中国語のグルメ本では、多少違った分類になっています。)
 
なお以下は、小職が知る範囲や、中国人の知人に聞いた料理の特徴です。
 ①東北料理=煮込み料理が多く、味付けが濃い。
 ②北京料理=レストランでは、北京ダックと羊肉のしゃぶしゃぶが代表格だが、以外と高級料理ではない(宮廷料理を除く)。庶民料理は味付けが濃く脂っぽいのが特徴。
 ③上海料理=海産物が多く、味付けも淡泊。油を多く使わないので日本人には合いやすい。中国人に上海料理の特徴を聞いてみると、十人中ほぼ十人が「甜(甘い)」と言う。小職にはあまり甘くは感じない(多分煮付けなどの日本料理も「甜」なのかもしれません。)
 ④四川料理=ひたすら「麻辣(「山椒のしびれ」と「とうがらしの辛さ」)」。比較的安い料理の一つ。
 ⑤湖南料理=四川料理から麻(「山椒のしびれ」)を抜いて、更に辛くした感じ。魚(淡水魚)の料理が特徴。
 ⑥広州料理=醤油味をベースとした日本人に合う味の料理。ただし、値段が高いので滅多に食べられない。
 ⑥清真料理=いわゆるイスラム料理。肉は羊のみ。強烈な香辛料で肉の臭みを消している。
 
 今度、北京に来られる際は、これらをもとに是非リクエストしてみて下さい。全てに十分お応えできるかどうかは分かりませんが、事前にご要望をいただいたほうが当方としても気が楽ですから!


なお、中国料理(中国での中国本来の料理)と中華料理(日本国内で出される中国料理)とは全く似て非なるものです(小職には実際その違いはよくわかりませんが)。
小職の知る範囲の中国人の方は、「日本で食べた中国(中華)料理は不味い。」と一様に口にされます。
また、とある日本の会社の方が、中国から来られたお客様を中華料理で接待したところ(多分、相当高級なところであったと推測されます)「日本の料理は中国の料理とよく似ている」と評されるなど、笑うに笑えない話もありますので、くれぐれもご注意下さい。

2011年8月10日

中国の休日について

 日本ではそろそろお盆休みに入ろうとしている時期で、帰省ラッシュも始まっていることかと思います。
中国ではお盆に類するものはありませんが(※)、夏の暑い時期、また子供が夏休みに入るこの時期に(中国の学事年度は9月からなので7月中旬から9月上旬くらいまで)、みなさんそれぞれ夏休み(暑假)を取られています。
※ 旧暦の8月15日と言う点では中秋節、先祖の墓参りという点では、清明節がこれにあたりますが、日本のお盆とは少し意味が違います。

中国の休日は基本的に土日と祝日ですが、この祝日が日本とは若干違っています。日本の祝日は、ほぼ恒久的に決まられた月日ですが、中国では毎年年末に国(国務院弁公庁)が翌年の祝日を発表して決められます。これは、一番大きな休みである春節が、旧暦(太陰暦)にもとづいて決められ、その時期が毎年ずれることが要因と言われています。
もう一つの特徴が、祝日と土日セットして休暇を長くする替わりに、その振替休日もまた国が決めていることです。このため、祝日の前後では土日も民間企業だけではなく役所も営業している場合が多々あります。

ちなみに2011年の祝日カレンダーは以下のとおりとなります。

<元旦> 2011年1月1日(土)~1月3日(月)3日連休
         振替出勤日:なし
<春節>  2011年1月2日(水)~2月8日(火)7日連休
         振替出勤日:2011年1月30日(日)、2月12日(土)
<清明節>2011年4月3日(日)~4月5日(火)3日連休
         振替出勤日:2011年4月2日(土)
<労働節>2011年4月30 日(土)~5月2日(月)3日連休
         振替出勤日:なし
<端午節>2011年6月4日(土)~6月6日(月)3日連休
         振替出勤日:なし
<中秋節>2011年9月9日(土)~9月12日(月)3日連休
         振替出勤日:なし
<国慶節>2011年10月1日(土)~10月7日(火)7日連休
         振替出勤日:2011年10月8日(土)、10月9日(日)
 
このように、日本と比べると少なく、また振替出勤日もあるため、休みはあまり多くありません。しかし、これでも以前と比べると多くなったほうで、2007年では以下のとおりとなっていました。
<元旦>2007年1月1日(月)~3日(水)  3日連休
<春節>2007年2月18日(日)~24日(土)7日連休
<労働節>2007年5月1日(火)~7日(月)7日連休
<国慶節>2007年10月1日(月)~7日(日)7日連休
オリンピックが開催された2008年には、これに清明節、端午節、中秋節が加えられ、その代わりに労働節の期間が短縮されています。これは、春節、労働節、国慶節という3大休暇における鉄道の混雑、道路の渋滞を緩和することが狙いと言われています。


このような少ない祝日ですが、その位置付けは大変重く、例えばこの期間に労働した場合には、通常の賃金の3倍を支払わなければならいないことが法律で定められています。このため、業務の関係、またご来訪の際には是非ともご配慮をお願い申し上げます。また、2012年の祝日発表に際には速やかにご連絡いたします。

2011年7月11日

中国の酪農・乳業情勢について

 別件で「中国の酪農・乳業情勢」を調べる機会があったので、その際に書ききれなかった内容を含め、まとめてみました。これをレポートに替えさせていただきます。

1.歴史(近代)
  かつて中国には、一部遊牧民族を除き、牛乳を飲む習慣がほとんど無く、病人や乳幼児が飲むものとされていました。
  これが1979年の改革解放による農村改革により、畜産業の振興と相まって生産が増加し、これにともない消費も増えていきます。
  特に1997年国務院は、「全国栄養改善計画」を発表し、乳用牛飼養と乳業を重点的発展企業と位置付け、以降も2000年の「学生飲用乳計画」「中国児童発展綱要」などにより、子供、特に大都市を中心とした子供を対象に飲乳の習慣化を図ります。
  このように、飲乳の習慣化を図る背景としては、「1990年代後半以降、穀物、豆類、いも類など糧食作物の生産過剰から作付転換必要であったこと」や、「WTO加盟にともなう国際競争力のある農業への再編が必要であったこと」など生産サイドの事情も多分にあります。
  あわせて、最近では、三農問題(農業振興、農村の経済成長、農民の増収と負担減)の解決に向け、農家の収入の増大のため、酪農が奨励され、乳牛を持たなかった農家も1~2頭の乳牛を飼養するようになりました。
  ※ WTO関係以外は、日本の1960年代の「選択的拡大」と酷似しています。
  また、乳業メーカーについては、農家が生産する農産物の加工販売などを行い地域の農村経済の発展に寄与する企業、いわゆる「龍頭企業」として認められ、様々な優遇措置が取られたことから、現在では1500~1600社もあると言われています。
※ 業界最大手が、内モンゴル自治区にある「蒙牛」。二番手が同じく内モンゴル自治区ある「伊利」です。
   「蒙牛」は、伊利の副総裁であった牛根生氏が1998年に数人の部下とともに設立した伊利のいわゆる分家です。
 両社は、北京オリンピックの公式スポンサー獲得のために、デッドヒートを繰り返し、最終的に伊利が勝利したことは有名な話です。


2.酪農生産の構造と酪農バブルの崩壊
  上記のような政策による後押しと全体的な経済発展に支えられ、酪農・乳業産業は、 投機的要素を徐々に強くしていきます。
 2000年前後から2004年までは、「酪農バブル」の様相を呈し、その後崩壊します。
 例えば、バブル期に1頭15,000元で取引されていた初妊牛は、3分の1の5,000元程度となりました。バブル期においては、生産者の多くは酪農経営の収益を生乳販売ではなく生体牛の販売から得ようとしていたため、その打撃は深刻なものとなりました。
  もともと、酪農ブームが生乳や生体牛の高騰をもたらし、ブームが急転し価格が下落し多くの酪農経営が破綻、需給が引き締まると再び酪農ブームが生じる、というミルクサイクルともいえる周期的な変動をもっていましたが、このバブル崩壊の傷跡は大きいものとなりました。


3.メラミン事件
  バブル崩壊はあったもの、それでも経済成長のもと、業界全体として右肩上がりの状況にありました。それを崩壊させたのが、2008年のメラミン事件です。
  業界トップを含む22の乳業メーカーの商品からメラミンが検出され、消費者の信頼は地に落ち、以降生産・消費の統計数値が2008年を越えられない状況が今もなお続いています。
  また、国務院衛生部は、メラミン事件を受け2010年4月に「乳製品安全国家基準」を発布しましたが、これにより乳製品コストの増大、基準に適合しない企業の淘汰(全体の2割~半数程度と推測される)など、業界としては依然不安定な状態が続いています。
  一方で、この基準値すら業界側、特に一部業界大手に有利な基準であるとの論争が業界内部の告発により巻き起こり(広州市乳業協会理事長の王丁綿氏)、再び消費者の関心が高まってきています。


4.今後の可能性
  このようにメラミン事件を境に業界としては、依然落ち着きの無い状況続いていますが、これを克服すれば、まだ伸びる余地は大きくあります。
  例えば、現在販売されている牛乳のほとんどはロングライフミルクで、これは中国の輸送問題が大きく関係しています。現在の中国の流通網は、常温および冷凍輸送はほぼ整備されつつありますが(大都市間に限る)、チルド輸送の整備がまだまだ遅れています。これが整備されれば、更に消費が伸びる可能性があります。
  また、乳製品の消費の大半は牛乳やヨーグルトなどの液状乳で、バターやチーズの生産量は限られています。これは食習慣の問題と輸入品との競合問題が原因ですが、克服に向け、まだまだ知恵を絞る余地があろうかと考えられます。