laoshuaidamiのブログ

2011年2月から2016年5月までの北京生活と辺境を含む中国全土および周辺国への珍旅行の記録です。

2011年4月19日

<東日本大震災に対する中国での報道等について>

東日本大震災で被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。


 今回の巨大地震に対する中国での報道は、迅速かつ正確なものでした。
 人民日報のインターネット報道では、地震発生の約15分後の15時03分(中国時間14時03分)には、「日本近海发生8.4级地震 首都东京震感强烈(日本近海でマグニチュード8.4の地震が発生。首都東京で強い揺れを感じた。)」と第一報を報じ、その6分後の15時09分には、「気象庁が津波警報を発令した」ことを報じています。その後の1時間の間だけでも、「」巨大津波が発生したこと」「福島第1第2原発が自動停止したこと」「火災が発生していること」など3~5分間隔で、マグニチュードの訂正発表を含め報道が更新されていました。
 また、CCTV(中国中央電視台)では、地震発生直後から、13チャンネル(CCTV新聞)でNHKワールドの同時通訳放送を開始し、ほぼ3月一杯続いていました。
 余談ですが、3月26日に小職の出身大学の在北京の同窓会があり、日本に留学し現在中国の国営ラジオ放送で仕事をしている中国人の方の話しでは、「彼女を含む日本語の同時通訳者は、震災直後からCCTVに動員され、今もなお缶詰状態となっている。同じ時期にリビア空爆で動員されたアラビア語の同時通訳者は一晩で家に帰った。」とのことです。
 原発関連では、特別番組で中国の識者を招き、事故の詳細な内容を、原発の構造を含めて解説し、事実を正確に伝えようとしている努力が見られました。(逆に「日本を擁護しすぎだ」という意見もあったほどです。)
 またその他、地震に対する日本人の冷静な対応、地震報道に対する日本のメディアのクオリティーの高さ、などを報じています。
 一つ残念なこと言えば、3月17日頃から発生した塩パニックです。
塩パニックの原因の一つは、日本の原発事故により海水が汚染されるので今後製造された食塩は全部汚染食塩となる、というもの。もう一つは食塩に含まれるヨウ素に被爆予防効果がある、という噂から、人々がスーパー、商店に塩を買いに走り、棚から塩が無くなったり、値段が十倍ほどにもなったことです。しかしそれも、マスコミを通じた政府の呼びかけにより1週間程度で沈静化し、現在では商品も棚に戻り、値段も元の水準に戻っています。
このように、事実をできるだけ正確に伝えようと努め、憶測や思い込みで報道された内容は、小職の知る範囲では一切ありません(小職の中国語能力の低さも一つの原因ではありますが)。
主観で申し訳ありませんが、3年前のいわゆる「ギョーザ事件」がどのように報道されたかが思い起こされます。小職は当時も北京に駐在しており、久しぶりに一時帰国した折、電車の吊広告を見て唖然としたことを今でも思い起こされます。この3年間で、それだけ日中間の関係が成熟した思えば、非常に喜ばしいこととも考えます。
もう1つ主観で申し訳ありませんが、今重要なのは、「日本人が、傷付き・困難に直面した同胞に対し、どう接しているか」ということを、政府・民間を問わず、もっと世界にアピールすることと考えます。
皆様日夜寝食を忘れ必死にご尽力いただいておられますが、国外に居て日本を見ている日本人としては、世界がそのことに注目していることをどうしても強く感じてしまいます。私を含め日本人は、このようなことはどうしても偽善っぽくて抵抗を感じてしまいますが、「見えなければ無いもの」として感じるのがどうも世界標準のようです。


皆様が大変な状況下で、主観を含め幾分遠い視点でコメントしてしまったことをお許し下さい。深くお詫び申し上げます。
繰り返しになりますが、被災者の方へのお見舞申し上げるとともに、亡くなられた方のご冥福、一日も早い復興を、13億の民とともに心から祈念申し上げます。